地震と天井に掛かる負荷
地震が起きた際、どれだけの強さで揺れるのかという
指標を、地震加速度[gal]といいます。
このgalは約1000で自重と同等の力(=1秒で止まった地表を10m移動させる力)が加わることを意味します。
地震では、震度5で約250gal、震度6で約600gal、震度7で約800gal超(揺れの周波数により加速度は大きく異なります。)もの力が地表から掛かります。
天井は地表に有るわけではないので、建物を通して、増幅した揺れを受けることになります。
柱の少ない体育館や2階以上では何倍にも増幅します。
そうなると、当初震度5程度を目標に作られている在来の天井も、震度5やそれ以下で崩落してしまうということになります。
今まで震度5程度でも天井が崩壊するケースが見受けられますが、新潟県中越地震では2036gal、岩手・宮城内陸地震では4022gal、東日本大震災も2933galという地表の揺れを観測しました。周波数の問題から単純比較は出来ませんが、加速度だけ見れば震度7の3~5倍だったわけです。このレベルになると「想定外」という言葉も出てくるかもしれません。
2200galを目標とした国交省の規定する耐震天井は、障害物の少ない好条件では
振動試験でも良い結果がでていますが、障害物などで十分な強度が保持できない
場合も少なくありません。そういった場合でも、天井落下事故だけは防がないと
いけないはずです。そこで必要になるのがフェイルセーフ(直訳:失敗しても
大丈夫=命綱のようなもの)になります。
耐震とフェイルセーフ
耐震天井は、天井の横揺れを抑えこむ発想の工法になります。一方、落下防止措置=フェイルセーフは何kgまでの天井は落とさない工法になります。揺れさせないことも、落とさないこともどちらも欠かせない性能です。バランスよく組み合わせることで安全な天井が最適なコストで作れるようになるのです。
施工事例
このところ、インフラや公共施設、鉄道や自動車、研究所や幼稚園のような公開許可の出ない案件ばかりで新しい施工事例が紹介出来ておりませんが、竣工物件は順調に増えております。
また、特定天井の落下防止措置工法の評定は始まったばかりのため認定工法を選べないことから、増改築までの繋ぎの天井落下防止措置を、ということで告示の解説書に対応させる形で特定天井にN-SafeやBBカチットワイヤー16を付けるという案件も出てきております。(※N-Safeは近日中に評定が取れるように努力しております。)
様子見の間、天井を落とさないようにする緊急対策として、BBカチットワイヤーは安く手軽なのでオススメです。